リスティング広告の成功事例も紹介!向いているケースや効果を高めるコツを解説

リスティング広告解説

インターネット広告を検討するにあたって、まず思い浮かぶリスティング広告。よく見かけはするけれど、広告を出稿するまでは仕組みを理解している人は少ないでしょう。

リスティング広告は、即効性がある点と効果測定できる点がメリットですしかし、競合性が高いとコスト(広告費)が高くなりますし、広告運用も専門性が高まっているというデメリットもあります。

リスティング広告の出稿を検討している人、出稿を開始して数値を改善した人向けに、リスティング広告が向いているケースや、広告費用対効果を高めるコツを解説します。ぜひ参考にしてください。

目次

リスティング広告とは?メリット・デメリット

リスティング広告は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンでユーザーが特定のキーワードを検索した際に、その検索結果ページの上部や下部に表示されるテキスト形式の広告です。

検索連動型広告とも呼ばれ、ユーザーの能動的な行動(検索)に直接アプローチできるため、非常に高い広告費用対効果が期待できます。

現代のデジタルマーケティングにおいて、最も基礎的でありながら、広告成果に直結する重要な広告手法の一つです。

スティング広告の仕組みと種類

検索結果に表示されるテキスト形式の広告です。「見出し」「説明文」「リンク先URL」で構成されており、ユーザーが検索したキーワードと関連性の高い広告が表示されます。

「クリック課金制(PPC: Pay Per Click)」であり、広告が表示されるだけでは費用は発生せず、ユーザーが広告をクリックして初めて料金が発生します。広告主は、クリック1回あたりの上限金額(入札単価)と日予算を設定することで、広告費をコントロールできます。

リスティング広告のメリット

リスティング広告のメリット

1.  顕在層にアプローチできる

「転職エージェント」「エアコン修理 東京」といったような、具体的なニーズを持って検索しているユーザーは、既に課題を認識し、解決策を探しています。

リスティング広告は、このような購買意欲の高い「顕在層」に効率的にアピールできるため、コンバージョン(商品購入・問い合わせ・資料請求など)に直結しやすいという大きな強みがあります。

これは、まだニーズが漠然としている「潜在層」をターゲットにするディスプレイ広告などと比べて、圧倒的な効率の良さです。

2.  即効性がある

 広告を入稿して審査が通れば、最短で数時間後には検索結果に表示され、Webサイトへのアクセスを増やし始めることができます。新しいサービスや新商品のローンチ時、キャンペーン期間中など、短期間で集客を増やしたい場合に非常に有効です。

3.  費用対効果が高い(コントロールしやすい)

前述のクリック課金制により、無駄な広告費が発生しにくい構造になっています。また、1日の予算や入札単価を柔軟に設定できるため、予算に応じて広告運用をコントロールしやすいのが特徴です。

例えば、月額10万円からでも十分に運用を開始できます。また、A/Bテストも容易に行えるため、費用対効果の高い広告を効率的に見つけ出すことが可能です。

4.  効果測定がしやすい

どのキーワードで、どの広告が、どれだけのクリック数やコンバージョンを獲得したかを詳細に分析できます。さらに、ユーザーの年齢、性別、地域、デバイスなどのデモグラフィック情報も把握できるため、ターゲット像の解像度を高め、次の改善策を論理的に導き出すことができます。これにより、PDCAサイクルを素早く回し、運用を改善し続けられるのです。

また、Google Analytics・Google広告を連携することで、広告管理画面計測値と実数値をより近づけて計測精度を高めることも可能です。

リスティング広告のデメリット

リスティング広告のデメリット

1.  競合が多いと単価が高騰しやすい

「クレジットカード」「脱毛」「英会話」など、市場規模が大きく、コンバージョンにつながりやすいキーワードは多くの企業が広告を出稿します。オークション形式でクリック単価が決定されるため、競合が多いほどクリック単価が高騰し、予算が限られている中小企業にとっては、大手企業との予算勝負になりやすく、費用対効果が悪化するリスクがあります。

2.  潜在層にはアプローチしにくい

リスティング広告は、あくまで「検索」という能動的な行動を起点とするため、まだ自社のサービスや商品を知らない潜在的な顧客にはリーチしにくいという側面があります。認知拡大が目的の場合は、ディスプレイ広告やSNS広告といった、ユーザーの興味関心に基づいて配信される広告手法と組み合わせる必要があります。

3.  キーワードの網羅性が求められる

ユーザーは多様なキーワードで検索するため、想定されるキーワードを網羅的に洗い出し、それぞれの検索意図に合わせた広告文を設定する必要があります。キーワード選定を怠ると、せっかくの機会を損失することにつながりますし、関連性の低いキーワードに広告を出稿すると、無駄なクリックを招くことになります。

2025年8月現在、Google広告ではAIマックスという検索キャンペーンが提供されています。配信する広告文・リンク先は拡張する・しないを選択できつつ、音声検索など、長文での検索クエリへ対応できる検索キャンペーンとして注目されています。

4. 広告運用に専門知識が必要

リスティング広告は、一度設定すれば終わりではありません。むしろ広告開始がスタートです。

効果を最大化するためには、キーワード選定、入札戦略、広告文の改善、除外キーワードの設定、データ分析など、専門的な知識と経験が必要です。日々の成果を分析し、最適な入札単価や予算を調整する作業は、初めて取り組む方にとっては学習コストがかかるでしょう。

リスティング広告が向いているケース

リスティング広告は、その特性から特定の状況で特に高い効果を発揮します。ここでは、リスティング広告を始めるべき2つの代表的なケースを紹介します。これらのケースに該当する場合は、すぐにでもリスティング広告の導入を検討すべきです。

CVRが高いページがわかっている時

すでにWebサイトを運営していて、特定のページがコンバージョン率(CVR※1)が高いことがデータで証明されている場合、そのページにリスティング広告で集客することは非常に有効です。CVRが高いランディングページ(LP)は、いわば「黄金の集客ルート」です。※1:コンバージョン数/クリック数(アクセス数)

例えば、過去のアクセス解析から「Aという商品紹介ページは、流入したユーザーの5%が購入に至っている」といったデータが分かっているとします。これは、ECサイト全体の平均コンバージョン率が1〜2%であることを考えると、非常に高い数値です。

この場合、リスティング広告を使って「A商品名 口コミ」「A商品名 最安値」といった購買意欲の高いキーワードでユーザーをサイトへ集客することで、高い確率でコンバージョンにつなげられます。

Google Analyticsを活用したCVRの高いページの発見方法

CVRの高いページの発見方法

Google Analyticsを使用すれば、どのページがコンバージョンに貢献しているかを簡単に特定できます。

  • 目標設定
    まずはGoogle Analyticsで「コンバージョン」の目標設定を行います。これは、商品購入完了ページのURL、問い合わせ完了ページのURLなどを設定することで、ユーザーがそのページに到達したことをコンバージョンとしてカウントする仕組みです。
  • レポートの確認
    「ランディングページ」のレポートを開きます。ここで、各ページの「コンバージョン率」を確認します。
  • 分析と発見
    全体の平均コンバージョン率を大きく上回っているページがあれば、それが「CVRの高いページ」です。そのページにどのような経路でユーザーが流入しているか、どのようなキーワードで検索されているかを分析し、リスティング広告の戦略に活かしましょう。

CVRが高いページに集客するメリット

CVRが高いページに集客するメリット

広告費の無駄をなくせる

広告で多くのアクセスを集めても、ランディングページの質が悪くコンバージョンにつながらなければ、広告費はただ浪費されるだけです。リスティング広告はクリックごとに費用が発生するため、質の高いLPにユーザーを誘導することは、費用対効果を最大化するために不可欠です。

PDCAサイクルを速く回せる

「このページはコンバージョンにつながりやすい」という確信があれば、あとはキーワードや広告文を最適化することに集中できます。これにより、運用のPDCAサイクルを迅速に回すことができ、より短い期間で成果を出すことができます。

新しいサービス・商品のテストマーケティング

リスティング広告は、新しいサービスや商品を世に送り出す際のテストマーケティングにも非常に適しています。大規模な市場調査や、チラシ・テレビCMといった多額の費用がかかる広告手法と比べて、少額からテストを開始でき、スピーディにフィードバックを得られる点が大きな利点です。

テストマーケティングの具体的な進め方

テストマーケティングの具体的な進め方
  • 仮説を立てる
    「この新サービスは、BtoBの営業課題を抱えている企業の担当者に刺さるはずだ」といった仮説を立てます。この時、ターゲットユーザーがどのような課題を持ち、どのようなキーワードで検索するかを具体的に想像することが重要です。
  • キーワードと広告文を設定
    仮説に基づいて、「営業 課題解決」「BtoB 営業効率化」などのキーワードと、ユーザーの課題に寄り添った広告文を作成します。広告文は、単なるサービス紹介ではなく、「このサービスがあなたの課題をどう解決するか」を明確に訴求する内容にしましょう。
  • 少額の予算で広告出稿
    まずは、クリック単価や日予算を低めに設定し、少額の予算で広告を配信します。この段階では、コンバージョン数よりも、クリック率(CTR)やインプレッション数など、ユーザーの反応を観察することが主な目的です。
  • 結果を分析
    どのキーワードで、どの程度のクリック数やコンバージョンがあったか、あるいは全く反応がなかったかなどを分析します。
良い結果

想定していたキーワードや広告文がユーザーに響いていることが分かれば、本格的な予算投入の判断ができます。また、思わぬキーワードがヒットするケースもあり、新たなターゲット層の発見につながることもあります。

悪い結果

ほとんど反応がなかった場合、「そもそもこのキーワードでは検索されていない」「広告文がユーザーの心を捉えていない」といった課題が見えてきます。この結果をもとに、キーワードや広告文を修正したり、そもそもターゲットや訴求方法が間違っていたのではないかという根本的な見直しを行うことができます。

テストマーケティングの目的は、「最小限のコストで、最大限の学びを得る」ことです。リスティング広告を活用すれば、このサイクルを迅速に回すことができ、ビジネスの成功確率を高めることができます。

リスティング広告で効果を高めるコツ

リスティング広告の成果は、単に広告を出稿するだけでなく、その運用方法によって大きく変わります。ここでは、効果を最大化するための3つの重要なコツを、より実践的な内容に踏み込んで紹介します。

キーワード選定

リスティング広告の成否は、適切なキーワード選定にかかっていると言っても過言ではありません。ユーザーの検索意図を深く理解し、それに合ったキーワードを選ぶことが重要です。

キーワードの検索ボリューム

キーワードの検索ボリューム

リスティング広告において、キーワードは検索ユーザーの意図や、コンバージョンへの貢献度を測る上で重要な指標となります。キーワードは一般的に、その検索ボリューム(月にどれだけ検索されるか)や、単語の組み合わせの数によって、以下の3つに分類されます。

  • ビッグキーワード
  • ミドルキーワード
  • スモールキーワード

1. ビッグキーワード(Big Keyword)

ビッグキーワードは、検索ボリュームが非常に大きい単語や、単一の単語からなるキーワードを指します。例としては、「転職」「美容」「旅行」「不動産」などのキーワードです。

特徴①:検索ボリュームが大きい
非常に多くのユーザーが検索するため、多くのインプレッション(広告表示)とクリックを獲得できる可能性があります。

特徴②:ユーザーの検索意図が不明確
「旅行」と検索するユーザーは、単に情報収集をしているだけかもしれませんし、「国内旅行」なのか「海外旅行」なのか、はたまた「旅行代理店」を探しているのかなど、具体的な目的が分かりません。そのため、コンバージョンにつながりにくい傾向にあります。

特徴③:競合性が高い
多くの企業がこのキーワードで広告を出稿するため、クリック単価(CPC)が高騰しやすいです。予算が限られている場合は、費用対効果が悪くなるリスクがあります。

活用方法認知度拡大
多くのユーザーに自社のサービスや商品の存在を知らせたい場合に有効です。

2. ミドルキーワード(Middle Keyword)

ミドルキーワードは、ビッグキーワードに別の単語を組み合わせたものです。検索ボリュームはビッグキーワードよりも少ないですが、ユーザーの検索意図が少し絞り込まれます。例としては、「転職 エージェント」「美容 スキンケア」「旅行 沖縄」「不動産 賃貸」などのキーワードです。

特徴①:検索ボリュームが中程度
ビッグキーワードほど多くはありませんが、ある程度のアクセスが見込めます。

特徴②:ユーザーの検索意図がより明確
「転職 エージェント」と検索するユーザーは、転職活動を具体的なサービスを使って進めたいと考えている可能性が高いです。そのため、ビッグキーワードよりもコンバージョンにつながる可能性が高まります。

特徴③:競合性は中程度
ビッグキーワードよりは競合が少ないですが、それでも多くの企業が狙っているため、単価はそれなりに高くなる傾向があります。

活用方法:見込み客の獲得
顕在的なニーズを持つユーザーにアプローチできるため、質の高いリードや見込み客の獲得に適しています。自社の主要サービスや、収益性の高いカテゴリに関連するミドルキーワードを重点的に運用することで、効率的に売上を伸ばすことができます。

3. スモールキーワード(Small Keyword)

スモールキーワードは、3つ以上の単語から構成される、より具体的なキーワードです。検索ボリュームは最も少ないですが、ユーザーのニーズが非常に明確であるため、コンバージョン率は最も高くなります。別名「ロングテールキーワード」とも呼ばれます。例としては、「転職 エージェント 20代 未経験」「沖縄 ホテル 家族連れ プール付き」「不動産 賃貸 東京 2LDK」などのキーワードです。

特徴①:検索ボリュームが小さい
月に数回から数十回程度しか検索されないことが多いです。

特徴②:ユーザーの検索意図が極めて明確
「沖縄 ホテル 家族連れ プール付き」と検索するユーザーは、具体的な条件に合うホテルを探しており、ほぼ最終的な検討段階にいると考えられます。

特徴③:競合性が低い
検索ボリュームが少ないため、大手企業が積極的に入札することは少なく、クリック単価(CPC)も安価な傾向にあります。

活用方法:コンバージョンの獲得
購買意欲が非常に高いユーザーにピンポイントでアプローチできるため、コンバージョン率が最も高くなります。限られた予算で、確実な成果を出したい場合に最適です。特定のターゲット層に向けたニッチなサービスや商品の場合、スモールキーワードを網羅的に設定することで、効率的に顧客を獲得できます。

キーワードの検索ボリュームまとめ

効果的なリスティング広告運用では、これら3つのキーワードを組み合わせて活用することが重要です。

  • 初期段階や予算が限られている場合
    まずはスモールキーワードに注力し、費用対効果の高いコンバージョンを積み重ねていきます。
  • 事業を拡大したい場合
    スモールキーワードで成功した後に、ミドルキーワードに予算を広げ、より広い層のユーザーにリーチします。
  • ブランド認知を確立したい場合
    最終的に、競合性の高いビッグキーワードにも挑戦し、市場でのプレゼンスを高めていく戦略が有効です。

ユーザーの検索意図を常に念頭に置き、各キーワードの特性を理解して戦略を立てることで、リスティング広告の成果を最大化することができます。

キーワードのマッチタイプ

キーワードのマッチタイプ

前述のビッグ・ミドル・スモールキーワードに加え、キーワードの「マッチタイプ」を理解することが、より効率的な運用につながります。マッチタイプとは、ユーザーが検索した語句と、広告主が設定したキーワードをどの程度一致させるかを決める設定です。

1. インテントマッチ/部分一致(Broad Match)

最も広範な一致タイプです。設定したキーワードと関連性の高い検索語句(類義語、関連語、誤字、複合語など)まで拡張し、広告が表示されます。

例)キーワード「メンズ シューズ」
「男性靴」「ランニングシューズ おすすめ」「スニーカー」などの検索語句でも広告が表示される可能性があります。

メリット

検索ユーザーの検索語句は多岐にわたります。想定外のキーワードでユーザーにリーチでき、新たなニーズを発見できる可能性があります。

デメリット

関連性の低い検索語句にも広告が表示され、無駄なクリックおよびコスト(広告費)が増える可能性があります。

2. フレーズ一致(Phrase Match)

設定したキーワードと同じ語順で、前後に別の語句が付加された検索語句に広告が表示されます。2025年8月現在では、登録しているキーワードと同じ意味であると考えられる検索語句まで拡張し、柔軟性がありつつ拡張し過ぎないキーワードマッチタイプとなります。

例)キーワード「ランニング シューズ」
表示される検索語句:「安い ランニング シューズ」「初心者 ランニング シューズ」「走りやすい運動靴」などで広告が表示されます。

メリット

部分一致よりも関連性が高く、より効率的な集客が可能です。

デメリット

部分一致ほど広範なリーチは期待できません。

3. 完全一致(Exact Match)

設定したキーワードと完全に一致する検索語句にのみ広告が表示されます(語順の入れ替えや同義語も含まれます。)

例)キーワード「ランニングシューズ」
「ランニングシューズ」の検索語句で広告が表示されます。

メリット

最も検索意図が明確なユーザーにアプローチでき、コンバージョン率が高い傾向にあります。無駄なクリックが少ないため、費用対効果が非常に高いです。

デメリット

検索ボリュームが限られるため、リーチできるユーザー数が少ないです。また、競合性は高まる傾向にあるため、クリック単価も高くなる傾向です。

戦略的なキーワード選定のポイント

最初は完全一致とフレーズ一致から始めてみる

Web広告代理店など、リスティング広告運用実績か多い広告代理店では、インテントマッチ(部分一致)のキーワードマッチタイプを活用するケースが多いです。

しかし、運用実績が乏しい人、初めてリスティング広告を運用する人には、インテントマッチ・部分一致はおすすめしません。

まずは、キーワード・広告を登録してみて、実際に広告が表示されているのを見たり、クリック単価の金額感を把握したり、クリック率を見てみたりなど、まずは管理画面をたくさん触ってみる事をおすすめします。(広告媒体はインテントマッチ・部分一致を推奨しています。)

特に予算が限られている場合は、コンバージョンにつながりやすい完全一致とフレーズ一致から運用を始めるのがおすすめです。初期からコンバージョン獲得も期待できるため、成功体験を積みやすいです。

キーワードプランナーを活用する

Google広告が提供する無料ツール「キーワードプランナー」を使えば、想定しているキーワードの検索ボリュームや競合性を調べることができます。また、関連キーワードの提案もしてくれるため、キーワードの洗い出しに役立ちます。

除外キーワードを継続的に追加する

自社のビジネスにとってコンバージョンにつながりにくい、あるいは全く関係ないキーワードは「除外キーワード」として登録しましょう。これにより、無駄なクリックを減らし、広告費の効率化を図れます。

なお、除外キーワードも、完全一致・フレーズ一致・部分一致のマッチタイプから選択できます。

見出し(広告文)の作り方

リスティング広告の見出しは、検索結果画面でユーザーの目に留まり、クリックを促すための最も重要な要素です。見出しの工夫次第で、クリック率(CTR)は大きく変わるのはもちろん、コンバージョン率(CVR)にも影響します。近年では「レスポンシブ検索広告」の特性を理解して活用することが重要です。

レスポンシブ検索広告の活用

レスポンシブ検索広告とは、複数の見出しと説明文を事前に登録しておくことで、Googleがユーザーの検索語句やデバイスに応じて最適な組み合わせを自動的に表示してくれる広告形式です。

作成のポイント

見出しを複数用意する(最大15個)
商品名、ベネフィット、割引情報、権威性(「〇〇賞受賞」など)といった、様々な切り口の見出しを複数作成しましょう。

説明文を複数用意する(最大4個)
見出しと関連性の高い説明文を複数作成することで、Googleが最適な組み合わせを見つけやすくなります。見出しと比べるとクリック率・コンバージョン率への影響は小さいです。

メリット

Google/Yahooが自動的に最適な組み合わせをテストしてくれるため、手動で複数の広告パターンを作成・検証する手間が省けます。また、ユーザーの検索意図に最もマッチする見出しを表示することで、クリック率の向上が期待できます。

ユーザーの心を動かす見出し作成のテクニック

レスポンシブ検索広告の各要素を作成する際に役立つ、具体的なライティングテクニックを紹介します。

AIDMAの法則を意識する

  1. Attention(注意)
    ユーザーの注意を引く見出しを作成。「【限定】」「〜でお困りではありませんか?
  2. Interest(関心)
    ユーザーの関心を引きつける。「最短1ヶ月で英語が話せる」「月額500円〜」
  3. Desire(欲求)
    ユーザーの「欲しい」という欲求を刺激する。「あなたの悩みを解決します」「理想の自分へ」
  4. Memory(記憶)
    インパクトを与え、記憶に残す。「3秒でわかる診断ツール」
  5. Action(行動)
    具体的な行動を促す。「今すぐ無料相談」「こちらから購入」

PASONAの法則を意識する

  1. Problem(問題)
    ユーザーが抱えている問題を明確に提示。「ブログで集客できずにお困りですか?」
  2. Agitation(扇動)
    問題の深刻さを煽る。「このままではライバルに差をつけられます」
  3. Solution(解決策)
    解決策を提示。「SEOに強いライティングを学びませんか?」
  4. Narrow down(絞り込み)
    対象者を絞り込み、特別感を演出。「Webライター志望者限定」「先着10名様」
  5. Action(行動)
    具体的な行動を促す。「無料講座を今すぐチェック」

アカウント構成

リスティング広告の効果を最大限に引き出すためには、アカウントを論理的かつ効率的に構成することが不可欠です。適切なアカウント構造は、管理のしやすさ、広告の関連性、そしてパフォーマンスの向上に直結します。

理想的なアカウント構成(詳細)

Google広告/Yahoo!プロモーション広告のアカウントは、以下の階層で構成されています。

  1. アカウント
    会社単位で作成する最上位の階層です。
  2. キャンペーン
    「新卒採用向け」「中途採用向け」のように、ターゲット地域、配信時間帯など、目的や予算によって異なる単位で設定します。
  3. 広告グループ
    キャンペーンの下にあり、関連性の高いキーワードと広告文をまとめる単位です。
  4. キーワードと広告
    広告グループ内に設定する実際のキーワードと広告文です。

例)キャンペーン「新卒採用」
 ●広告グループA:「職種名(エンジニア)」のキーワードと広告文
 ●広告グループB:「職種名(営業)」のキーワードと広告文
 ●広告グループC:「職種名(マーケティング)」のキーワードと広告文

アカウント構成の重要性

アカウント構成の重要性

広告の品質スコアを向上させる

Google広告/Yahoo!プロモーション広告には、キーワードと広告文、ランディングページの関連性を評価する「品質スコア」という指標があります。

品質スコアは1〜10で評価され、スコアが高いほど広告ランクが上がり、クリック単価が下がる傾向にあります。関連性の高いキーワードと広告を一つの広告グループにまとめることで、品質スコアを高めることができます。

管理がしやすくなる

目的別にキャンペーンを分け、関連キーワードごとに広告グループを整理することで、パフォーマンスの分析や改善が容易になります。「どの目的の、どのキーワードで、成果が出ているか」がひと目で分かります。

なお、同じキーワードを、複数の広告グループに登録することはおすすめできません。管理がしにくくなる点に加え、評価の分散や、アカウント内コンフリクトが発生し、クリック単価が上昇する可能性もあります。

広告のカスタマイズ性が高まる

広告グループごとに異なる広告文を設定できるため、キーワードの検索意図に合わせた、よりパーソナライズされた広告を表示できます。例えば、「英語 初心者」と検索した人には「基礎から学べる英会話」、一方で「英語 ビジネス」と検索した人には「ビジネス英会話」の広告文を表示するといったことが可能です。

リスティング広告運用の成功事例

リスティング広告は、戦略的な運用によって多種多様な業界で成果を出しています。ここでは、具体的な成功事例(弊社事例)を2つ、詳細なデータとともにお伝えします。

事例1:BtoC 塾の申し込み・問い合わせ獲得

課題と目標

競合性も高く、CPAが高止まり。目標CPAをクリアするためには、配信する広告予算を抑えめにする必要があり、目標とする申し込み・問い合わせ数に対して目標未達であった。

実施施策

1. ターゲット再定義&広告文テスト

誰がどのように情報を探しており、比較検討のタイミングで「なに」が後押しされるか仮説立て、広告文テストを実施。コンバージョン率は維持したままクリック率2倍・クリック単価半減という成果につながり、目標CPA達成およびコンバージョン数(申し込み・問い合わせ)の増加に至った。

クリック単価500円→250円まで改善

2.自動入札戦略の効果検証

近年のリスティング広告では、自動入札のコントロールが広告パフォーマンスに影響する。自動入札に切り替えた後、コンバージョン率が低下し、コンバージョン数も減少。獲得できていたコンバージョン数だけでは自動入札が上手く稼動しないと想定し、マイクロコンバージョンを導入。

マイクロコンバージョンを導入してデータを蓄積するとともに、マイクロコンバージョンとコンバージョンの相関関係も精査。コンバージョンに至る可能性が高いマイクロコンバージョンのみ残し、他マイクロコンバージョンは削除。このデータ活用によりコンバージョン率およびCPAが劇的に改善。

CPA8万円→CPA3万円まで改善

事例2:BtoB SaaSサービスの申し込み・問い合わせ獲得

課題と目標

自社でやっていたものの、CPAが高止まり。機会損失が出ている状況であり、かつコンバージョン獲得に再現性がなく、月ごとで成果が安定しない。

実施施策

1. アカウント構成変更

複数のサービスで広告集客していたものの、キーワードの重複が発生しており、キャンペーン・広告グループのグルーピングが複雑でありアカウント内コンフリクトが多発。サービスごとのキーワード・広告文の整理を行いつつ、不要なキーワードの精査を実施し、アカウント構成を変更。

CPA5万円→CPA2.5万円まで改善

2. 広告文・ランディングページ最適化

アカウント構成の変更により、企業にとって重要な検索キーワードが明確に。重要なキーワードに対し、広告文の最適化だけでなく、ランディングページの最適化も実施(LPO)。ランディングページでの重要キーワードの出現数を高め、重要キーワードとの関連性を強化。

コンバージョン率0.5%→コンバージョン率1.0%

Web広告も組み合わせて活用

リスティング広告は非常に費用対効果の高いWeb広告施策ですが、Web広告の全体像を捉え、他の広告手法と組み合わせて活用することで、さらに大きな成果を生み出すことができます。

単一の広告手法に頼るのではなく、目的に応じて複数の広告を組み合わせる「統合的なマーケティング戦略」が、現代のWeb広告運用において最も重要です。

リスティング広告とディスプレイ広告の組み合わせ

リスティング広告

「顕在層」にアプローチし、直接的なコンバージョンを狙う。

ディスプレイ広告

ニュースサイトやブログ、YouTubeなどに表示される画像や動画形式の広告で潜在層にアプローチし、認知度(社名・サービス名の検索ボリューム)を高める。

この2つを組み合わせることで、「認知→興味→検索→購入」という一連のカスタマージャーニー全体をカバーできます。

広告配信シナリオの例

リスティング広告とディスプレイ広告の配信シナリオ
  1. 【認知フェーズ】ディスプレイ広告で広くリーチ
    「健康食品」を販売するECサイトの場合、「健康」「ダイエット」「美容」といったトピックに関心を持つユーザーに対し、ディスプレイ広告で商品の存在をアピールします。
  2. 【興味・関心フェーズ】リターゲティングで再アプローチ
    一度サイトを訪問したものの購入に至らなかったユーザーに対し、ディスプレイ広告のリターゲティング機能を活用。「買い忘れはありませんか?」「〇〇%OFFキャンペーン実施中」といったメッセージを配信し、購入意欲を再燃させます。
  3. 【検討・行動フェーズ】リスティング広告でコンバージョンを刈り取る
    ディスプレイ広告で商品を知ったユーザーが、「〇〇(商品名) 口コミ」「〇〇(商品名) 効果」と検索した際に、リスティング広告で公式サイトに誘導し、購入につなげます。

リスティング広告とSNS広告の組み合わせ

SNS広告は、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LINEなどで配信される広告です。年齢、性別、興味関心、居住地など、詳細なターゲティングができるのが特徴です。

リスティング広告

すでに特定のサービスや商品を「探している」ユーザーにリーチ。

SNS広告

まだ探していないが、「興味がありそう」なユーザーにリーチ。

ファッションや住宅など、テキスト(文字)で訴求するよりも、画像・動画を使ったほうが魅力を伝えやすい商材・サービスも多いです。

広告配信シナリオの例

リスティング広告とSNS広告の配信シナリオ
  1. 【興味・関心フェーズ】SNS広告でターゲットを深掘り
    「キャンプ用品」を販売するECサイトの場合、Instagram広告で「キャンプ」や「アウトドア」に興味があるユーザー、特定のインフルエンサーをフォローしているユーザーなどに、商品を使った動画を配信します。
  2. 【検討・行動フェーズ】リスティング広告で購買を促す
    SNS広告で興味を持ったユーザーが、「〇〇(商品名) レビュー」と検索した際に、リスティング広告で公式サイトに誘導します。
  3. 【リピーター育成】SNS広告で再アプローチ
    一度商品を購入したユーザーに対し、SNS広告で「関連商品」や「次のキャンプシーズンに向けた新商品」を配信し、リピート購入を促します。

このように、リスティング広告を起点に、他のWeb広告を戦略的に組み合わせることで、ユーザーの購買プロセス全体を網羅し、より効率的な集客と売上拡大を実現できます。単一の広告手法に頼るのではなく、目的に応じて複数の広告を組み合わせることで、あなたのビジネスの可能性は無限に広がります。

まとめ

リスティング広告は、自ら情報を探しているユーザーへ広告接触できるため、あらゆるWeb広告のなかで、高い費用対効果が期待できるWeb施策です。

商品・サービスに関するWebサイトがあれば、すぐに集客できる点も大きな魅力です。すでに効果が高いWebページがわかっている場合、新商品のテストマーケティング、これらの用途にも十分に活用できます。

リスティング広告を上手く活用するには、ターゲットユーザーのことだけでなく、リスティング広告のアカウント構成の仕組みも理解する必要があります。

配信してみることで得られるデータもありますので、ここで紹介したキーワード選定・見出し・アカウント構成を参考に、まずは広告配信してみましょう。

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